江村さんから50枚に及ぶ楽譜が送られてきた。 一枚一枚にあちらこちらに向いた音符とことばが散乱している。 なにもかかれていない白紙もそのなかには混じっていた。 私は、一瞬おはじきをばらまいたときのようだと思った。 まるで毎回ゲームを始めるかのようにばらまかれている。 演奏が始まって現実に音がなり、声がきこえ、ことばに意味が含まれていく。 自分の出す音は、迷いっぱなし。 えいっ!と一気にそのフレーズを弾いてしまうときもあれば、音を出してみてから なんとなくぎこちなく動くこともある。 でも、出してしまった音はどうあっても消えてゆく。 ことばと音が、おはじきをばらまいたときのようにぶつかったり、くっついたり、 かさなったり、そして、毎回それはいちからやり直し。 ほかのひとの音や声が耳に届いて、その出会いみたいなものをあらっ?とかふぅ〜ん。 とか思いながら自分も参加している。 今日はこんな出会いがあって、こんな時間をすごしました。というように。 日常生活の一部を切り取ったように。 いいこともよくないこともあったね。でも、よかった。楽しかった。と思えた時間だった。