8月25日(日)

 こちらは11時。08時半ごろ、昨日の今日でちょっと疲れた感じはあったけど、このゲストハウスの隣にある食堂で朝ごはん。Amok という名前の一品料理と米飯、これは魚と野菜のカレーに似ていた。ホット珈琲。3ドルちょっと。

 シェムリアップの Pub Street がすぐそこなので、探検に出てみました。拠点のゲストハウス(Adventure Siem Reap Lodge というゲストハウスです。おすすめですよ)を見失わないように、道を覚えながら歩く。市場がありました。もちろん屋根の下にたくさんの店が並んでいるわけです。概念としてはスーパーに近いのかな。ちょっとムッとする空気の中をかき分けて進むと、食品街がある。生の魚のうろこをこき取っていたり、ひたすら叩ききっていたり、それから膨大な野菜類、惣菜。衣服類、スマホ。かなり暑いので、タオルを調達したかったが、案外そういう実用品がない。

 日本で言えば仏具屋さんになるんだろうけれど、木彫りの仏像とかがもっと本格的に並んでいるお店に入り、シンギング・ボールを見つけ、32ドルでひとつ買ってきた。チップ1ドル。ほかに水分補給としてアイスコーヒを1ドルで買って、飲み歩いてました。


 いわゆるアートがそれなりに街中にある。このゲストハウスのロビーにも油彩画が飾ってあるし、市場と同じところに油彩画のお店もある。前衛的ではないけれど、商業絵画にしては本格的な作品を売っている。

 「暑い」と思っていたが、だんだんそうでもなくなってきた。心地の良い風が吹き、食堂では扇風機が回っている。今回の滞在は1週間で、この街に居つきはしない。でも写真を撮っているだけの傍観者もなんだから、知らない街にどう「切り込んで」いくか、タイミングとポイントを探しているあいだはややナーヴァスだったが、どうやら今日の午前中でその通過儀礼は一応済んでしまったらしい。知らないものに接するときの警戒心は、個人差はあっても、人間の本能だろう。ただし、危険や不安を排除すれば安全が残りますというようなもんじゃない。逆にその警戒心を自分の身体感覚や感情として、頭をなでながら徐々に受け止める、という方法がある。日常会話の英語と片言クメール語でコミュニケーションは問題なく、商店の人たちは親切です。

 昼ごはん、要するにエビと野菜の生春巻きだね。これが1.5ドルですよ。食べていたら、同じ食堂に若い日本人の団体さんが入ってきた。 冷たいグリーンティー+ミルク、1ドル。あちこちで売っているこのドリンク類は、客の前で1杯ずつ淹れるハンドメイドであって、5分ぐらい時間をかけて作ってくれる。ちょっと昼寝しようかな。夕方、日が落ちたころ出ればいい。 

 それにしても、Free Wi-Fi が普及したら、世界中どの都市に行っても、自分のパソコンやスマホさえあれば、場所が変わるだけだという通信環境は、単に技術だけをとれば便利なもので、使えばいいものになっている。でもカンボジアに来てみなければどういう場所かわからないように、テクノロジーでは伝えられない身体感覚も、同様にある。

 道路にタバコの吸い殻が落ちていないし、路上喫煙も見かけない。喫煙は、このゲストハウスでも建物の外で、宿泊代にいくらか足すと喫煙ルームにしてくれるようだが、ぼくはそこまでひんぱんにタバコは吸わないので、必要がなかった。午後3時過ぎ、Pub Street をまたぶらついたが、午後のお茶のためにわざわざお店に入るのもなんかめんどくさくて、「Oishi Green Tea」というペットボトルを買って飲んでみたら、じつは「Green Tea Honey Lemon」という小さい字が書いてある、甘い飲み物だった。まあそれを飲みながらゲストハウスの前でたばこ1本吸ってました。

 飲み食いばかりもなんだから、ぼくが興味を持った仏教アートのお店を見て回った。等身大やそれ以上のサイズの観音様の木彫がずらっと並んでいたり、あした観に行くアンコール・ワットの寺社や風景を描いたかなり大きい油彩画があったり、というようなものをひっくるめて「アート」と言っているらしい。こういうものを作って売るプロがいるとのことですが、等身大の木彫の観音様は、前に立ってみたら思わずぞわっとした。民家にあったら不気味かも。ちなみに、アートのお店の店員さんは、宗教意識について簡単な雑談ぐらいはする派と、もっぱら売らんかな派とに分かれるようで、売らんかなの人は、悪いけどスルーしてきました。午後4時半、にわか雨。

 などと書いていたら大雨になった。ゲストハウスで待機。受付嬢によれば、5時から7時まで降るとの天気予想だそうです。スマホで調べてくれました。夕飯を食いに出ようにも、道路が水浸しなんだが。日本の常識では浸水被害ぐらいの雨。どうしよっか。

 夕飯食べました。朝と同じ、このゲストハウスの隣の食堂があって、問題はこの浸水被害の豪雨の中を、どうやって隣の食堂まで歩くか、だった。踵の上まで水浸しになるから、日本から履いてきた運動靴はずぶぬれになる、しかし、裸足では危険だと、受付嬢が言う。そこで、ホテルのスタッフさんのサンダルを借り、ズボンの裾をたくし上げ、サンダル突っかけてずぶずぶ水の中を歩きました。隣が食堂でよかったよ。本来の予定では夜の Pub Street を見学に行くつもりだったが、キャンセル。Angkor Beer をひっかけながら、鶏肉と野菜のスープと米飯、トータル5ドルちょっと。豪雨だが、土地の人は別に驚かないし苦にもしないらしい。バイクも人も、トゥクトゥクも自動車も浸水しながら通行している。受付嬢曰く「学生だってバイクに乗ってます」。ただ、商店はさすがに開いてなかった。旅程2日目にして、トピックスの一つに行き当たったのかも。ちなみにこの受付嬢はカンボジアではなくタイの人で、カンボジアでお金をかせいで休日に遺跡や寺社を巡り、その後タイの実家に帰省するんだって。



8月26日(月)

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