2017年3月15日(水)



 現在、バンコク時間で午後3時37分。07時にワゴン車でツアーに出かけて、昼の1時半過ぎに戻ってきました。バンコク市を出て、どっち方向へ走ったのかよくわからないが、とにかく、英語では「Floating Market」と呼ばれている水上市場で、ぼくが行ったのはダムヌンサドゥアク水上市場、手漕ぎボートやモーター・ボートで川を渡りながら、岸にあるお土産屋さんで買いものができる。

 メークロン市場という名前の“普通の”市場もある。普通の市場といっても立地が変わっていて、ちょっと説明しにくいが、鉄道が走っていて、線路の両脇に生の魚や肉、果物などを売っている店が立ち並び、線路の上にも商品が並んでいるんですが、電車が来ると人間はみんな線路のわきに退避し、電車は線路の枕木の上に置いてある商品の「上を」通過するという、こういう状況が現実にあるから面白い。物価は特に安くはない。生のお魚を買っても、持って帰れないからショッピングはしなかった。

 水上市場では、仏教にちなんだ装飾品がかなりたくさん置いてあり、売り声がややかしましい。白人の観光客にはこういう東洋の文化が珍しいらしく、時間をかけて値段の交渉をやってましたが、ぼくたちは手漕ぎボートに乗って川を渡ってるわけで、岸の上のお店の前にいちいち止まって、進み具合が少々ゆっくり過ぎたか。まあ30分ぐらい、川の上にいました。

 しかし、このあと高速のモーター・ボートに乗り換えて近隣の川を疾走、これはおもしろかったなあ。もちろんね、こういう市場とかボートとかいうのは、タイの伝統を伝えると同時に、外国人観光客向けのアトラクションの要素も入っているでしょう。でもおもしろかったよ。昨日も書いたように、こういう体験は地元の人の信用できる案内がなければ、全く素通りして、ただ単に都市の中心で日本円を消費して帰ってくる旅行になりかねない、それでは面白くないですよ。

 ちなみに、この水上市場の近くでも象に乗ることができるが、象に40分乗るか、ボートに1時間乗るか、という選択で、ぼくは今回は象さんには乗らないできたというわけです。

 今日のツアーで会話をした人は、ロシア人女性と韓国人男性で、韓国人男性は2月からバンコクにいるそうです。お父さんが神戸にいたことがあるとのことで、小さいころは日本語を聞く機会が多かったと話していた。

 あくまでもぼくの印象だが、旅行している外国人って、なかなか「コミュニケーションの壁」の外に出てきにくいらしい。国際交流というのは、その「壁」があるからこそ、必要なんだけれども、だからといってコミュニケーションの質を簡単にすればいいとか、そういうことでもないだろう。もっとも、ぼくは今朝06時ごろ起きて朝食を食べに部屋を出たところでオーストラリアの女性と廊下ですれ違い、おはようのあいさつのあとで、調子はどう?と訊いたら、彼女はセブンイレブンで買ってきたコーヒー2杯をぼくに見せて「Coffee」と言ってにこにこしており、どう反応したらいいのかわからなくなって、黙ったまま別れた。まあそういうこともあるものなのですよね。

 バンコクの屋台やレストランは、出入り口のドアがなく、車道や舗道にイスとテーブルが並べてある(ランブトリ通りの場合はそうです。高級ホテルがどうなっているかはよく知りません)。だから開放的で気分がいいのかな。密閉感がない。

 今回の滞在で、ぼくはタイのカレーとかヌードルスープをずっと食べていた。せっかくタイに来たんだから、現地の人が普段食べてる食事をしてみようよ、という気持だった。今夜は雑炊でしたが、単品で腹いっぱいになるのはどうしてだろうか。たぶんスープのダシがうまいんじゃないか。山盛りの食事でなくてもよい、という感じが、ずっとある。日本の家庭の昼飯にレトルトカレーとか、乾麺とかいうことは日常、よくあるが、それを上手に作って出してくれているような感覚だ。まあ、実際に住んでみたらどうなのかはわからないけれども、日本の「外食」とははっきり感覚が違うようにみえる。

 カレーでも雑炊でも麺類でも、一品料理そのものは激辛ではない。しかし、どこの食堂でもテーブルにだいたい4種類ほどそろえてある薬味が相当からい。からい物が好きなぼくでも、薬味の量を間違えて、唇に火がついたようになったことが何回かあった。でも旨いんですよ、からくても。

 (あとでネットで調べたら、タイ人の約11パーセントが高血圧症で、そのほか糖尿病も精神病もあるそうです。しかし、平均寿命はだいたい74才で、決して低くはない。こういう統計に過剰にこだわらないほうがいいのではないか。日本でラーメン1杯、スープも全部飲み干せば塩分は7グラム程度だからスープは飲まない、というような配慮をする人はいるでしょう。カレーの塩分は1食あたり3グラムあるかないかだから、そう心配は要らないんじゃないのかな。香辛料は摂ったほうがいいという見解もある。程度問題ではないだろうか。3月21日記す。)

 物価が安いのには驚く。今回のタイ滞在、経費をざっと計算してみたら、飛行機代が50000円程度、ホテル代は6泊でだいたい5000バーツ≒15000円とちょっと(この中に朝食も入っている。しっかりしたトーストとハムとサラダとドリンクの朝ごはんです)、ツアー料金、ナナ駅近辺の飲み屋でおねえちゃんに渡したお小遣い(1000バーツを単位にしたほうがよさそう)、とかいうような割高な出費を除くと、1日当たり2000円弱で行動していたという話になる。いいですか、これは日本の日常ではない。旅行なんです。食費、タクシー代、暑いからときどき買った飲み物なんかのトータルがこれ。セブンイレブンで水を買って7バーツ≒21円かそこらというような社会です、ここバンコクは。出店で売ってるアイスコーヒーが、安いもので25バーツ≒80円以下、高くても50バーツ≒200円以下、ヌードルスープのたぐいを40バーツで130円以下。云々。

 ただし、高級感を求めたい方には、ここでぼくが紹介しているホテルや食堂やツアーは、あえてお勧めしません(笑)

 (もっとも、これは日本から見た場合そうなので、日本円で物価が安いと思ったら、タイでは逆に貨幣価値が高いということになります。ぼくは自分の予算でいくら使ったかという単純計算をしており、現地の人たちの金銭感覚は同じではないでしょう。価値基準は相対的なものです。念のため。3月24日記す。) 

 この旅行で、ものごとをやるのに「だいたい」という感覚がとても大事だということを教えてもらった。幅の問題なのですね。社会がゆとりを持つためには、どんぶり勘定も必要なのだ。しかも、その「だいたい」の範囲ということをみなさんが上手にわきまえているという、あるルールが必要だという話のようですよ。




3月16日(木)

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